silky6の日記

こんにちは。このブログは、silky6が日々の生活で気になったことを気ままに書き連ねています。

個になった日本人の弱さ

もう数十年前の話。お笑い界で飛ぶ鳥を落とす勢いの超売れっ子ビートたけしの対談番組に出演された故西部邁先生が、大東亜戦争の際に捕虜になった日本兵が、米軍からの質問にあっさりと口を割り、敵軍が驚くほど重要な機密を簡単に白状する様に、思わず何か裏があるのではないかと勘繰ってみたが、実際に正しい情報だったことが解り、驚きを超えて呆れたという話をされていた。西部先生と言えば言わずと知れた保守派のカリスマ的論客だったので、当然日本兵を美化するような話はされても、マイナスになるような話はしないと当時勝手に思っていたので、日本軍の裏切り行為以上と同じくらい驚いた。そのせいか、今でもたまに当時の映像が脳裏をよぎり、その都度何故日本兵はそんなに簡単に祖国や同胞を裏切るようなことが言えたのだろうかという疑問が浮かび続けた。

ただ、その謎は今日をもってだいぶ解明できたような気がする。というのも、今日読んでいた国土が日本人の謎を解くという本の中で、大東亜戦争の際にソ連で捕虜となった日本兵が、いとも簡単にソ連軍により赤化洗脳に染まり、軍歌を捨てコミンテルンの歌を口ずさみ、せっせとソ連のために生産活動を行ったという記載があった。著者の大石先生曰く、共同体に帰属することにより強さを発揮していた日本人にとって、敵軍に捕まることにより自分の貴族を失うことは耐えられないことであり、その結果どうしたらいいのかわからなくなってしまったということらしい。そして新たに自分の帰属先となった敵軍に対してあっさりと忠誠を誓ってしまうのだろう。

この共同体尊重文化故の個としての脆さという分析は非常に腹落ちした。そう考えると、やはり日本人の長所を生かすには、共の精神のもとで共益のために個人が頑張るという姿が理想的なのだろう。ばらばらの個がまとまるということではなく、個が自分自身を溶かして集団に貢献するという方が自分としてもしっくりくる。やはり、自分は典型的な日本人なのだと思う。